Thank you&Happy birthday2






あれからどれ位走っただろうか。参加する六人の住んでいるところから
等しいところで待ち合わせたせいで商店街までかなり離れていた。
さっき通信機で冥王が東の崖に行ったと聞いた。あそこからは近いだろう。
もしかして苦労しているのは自分だけなのだろうか。

「あっ着いた…すみませーん!誰かいますか?」
「はーい!…ってあんたルキア…」
「あっスタダの人だ…」
「何よ!スタダの人って!せめてスタダ子とお呼び!!」
「じゃあスタダ子、薔薇を10本お願いねー」

ボクがそう言うとスタダ子は仕様がないなと呟きながら店の中へ入って行った。
スタダ子と入れ違いに店から白髪で赤い目をした少女が出てきてラッピングどうするの?
と聞いてくる。

「ラッピングはいらないよ。…って、あ!!!」

ボクは誰かにぶつかった。顔を上げるとそこには、

「アビスさん…お久しぶりです!」
「ルキアか!久しぶりだなぁ…こんなに大きくなって…あ、話は冬天秤君から聞いてるよ」
「イヴェールさんもう連絡入れてたんだ…」
「ほれっ!」

アビスさんからビニール袋に入った薔薇を貰いお金を渡す。
そのとき、ビニール袋の中の異変にボクはすぐに気付いた。

「本数…多いですよ!」
「ん?私達の分だよ…陛下におめでとうと伝えてくれないかい?」
「…分かりました。でもお金…」
「いらないよ。私達が勝手に望んだことだ。お代はいらないよ…ね?皆」

アビスさんの後ろに居た六人の少女が頷いた。
時間が迫ってきている。ボクは時間なので、とアビスさんに一言言って走り出す。

「…ありがとうございます!陛下に伝えておきますので!」
「あぁ、宜しく頼むよルキア!」
「さよならっ!」

なだらかな坂道を駆け上がる。だんだん皆が小さくなってく中、
今度はいつ会えるだろうと考えるボク。

「またね、ルキアお姉ちゃん…」
「ほら、エル泣かないでお姉ちゃんに手振って?」
「パパ…またねルキアお姉ちゃん…またね!」

雲が黒くなり、雨の匂いがする。
あっちに行き着くまで降られなければいいのだけど。
自分の任務が終了した。あの双子に通信機で連絡しなければ。

「もしもし、ルキアです。」
『はい、オルタンスです。ルキアさん、薔薇10本買いました?』
「アビスさん達の分合わせて17本です。…陛下におめでとうと伝えてくれと言われました」
『分かりました。こっちはもう雨降ってるんですよ…そろそろそちらも降ってくるんじゃないかしら…』
「もう降ってるんですか?!今坂道上ったとこです…」
『じゃああと30分はかかりそうですね…お湯はっときますので、早めに帰ってきて下さいね』
「ありがとうございます…なんかすみませんね…」
『ではもう切りますよ?』
「はい、またあとで」

通話を切るとまた走り出す。

「あ、雨…」

戻れば優しい仲間と暖かいお風呂。教団に居た頃はこんなもの無かった。

「ありがとう…皆」



皆待ってる、待ってるんだ。雨が激しくなる前に戻って…






Thank you & Happy birthday  2
(なんだかんだで…ボク幸せだなぁ…)