Thank you&Happy birthday5





「タダィマ…」
「只今帰りましたムシュー」
「お帰りヴィオレット。皆心配してたんだよ?」

ムシューは私を抱きしめながらそう言った。

オルタンスとムシューがイドさんの居るところから集合場所に戻って約25分後
私と冥王さんはやっと出会った。
そこから冥王さんを助けながら歩いて約10分。やっと集合場所に着いたのだ。

「じゃあ、台本を一人一部持って。…と言うか作戦の資料みたいな物だけど…一回目を通して下さいね。」

クロニカがそう言うと皆目を通し始める。だがそこに書いてあったのは、

「…『言葉で伝える。』?これだけ…?」
「よく奥深く考えなさいルキアちゃん。意味はそのまんまじゃないのよ?」

クロニカはルキアにそう言うと腰に手を当てて話し出す。

「物 でもいいけど、手紙でもいいけどやっぱり一番いいのは『言うこと』だと思うの。形としては残らないけれど心には残る。手紙で書かれるより言われる方が私は よっぽど嬉しいわ。だから今回は皆にも物と一緒に言葉も伝えてもらいたいと思う。ってイヴェールが言ってましたわよ?どうします?」



『物 でも手紙でもいいんだけどさ…やっぱり言葉にするって一番いいと思うんだよね…形としては残んないけどさ心には残るだろ?僕は姫君達にお礼を言われるなら 手紙より言葉の方がよっぽど嬉しいな…皆が僕と全く同じ考えをしているかと言えば違うと思うけど。だけど今回だけは皆に物と言葉で伝えてもらいたいんだ… あっこのこと僕が考えたって誰にも言わないでくれよ!』



「…言わないって言ったじゃないか…」
「私返事した覚えありませんけど?」
「っ…やってくれたなクロニカ…」

真っ赤になり目頭に涙を溜めてムシューはクロニカさんを睨む。
ムシューの腕の中で、

「ムシュー…私感動しましたよ!見直しました!」

私はそう言った。

「私も感動しましたよ!」

続いて言ったのがヴィオレット。ルキアさんや冥王さんまで褒める。

「クロニカ…呪ってやる…」
「い、イヴェール君?なんか性格変わってない?」
「そりゃあ変わりますよね?こんなことされたら…」
「「ムシュー…?」」

ムシューの目つきが変わる。本気で怒ってしまったらしい。

「…帰る。」
「「え?!」」
「帰ると言っている。」
「「ムシュー…!」」

怒り狂った【色】と悲しみに暮れた【色】。
二つの瞳はまるで誰も信じないと言っているかのように思える。

「ごめん、イヴェール…私はそんなつもりじゃ…!」
「何を今更…言い訳など聞きたくもない。」

ムシューはそう言い捨てて早足で歩き出す。






Thank you & Happy birthday  5
(まるでその瞳は絶望しか映していない…)