Thank you&Happy birthday7



「ムシュー!もう戻らないといけません!もう泣かないで下さいよ…!」
「オルタンスの言う通りです!早くして下さい!」
「…分かったよ、もう…」

そう言いながら体育座りで座っていたイヴェールは服の埃を払いながら立ち上がる。
早く早くとせがむヴィオレットとオルタンスは10メートルほど先で手を振りながら
早くして下さいムシューと叫ぶ。

それから数分。三人とも無事に集合場所に戻った。
三人が居ない間残った三人はずっと黙ったまま。
戻ってきた時のイヴェールの笑顔を見てやっと言葉が出てきたらしい。

「心配シタンダゾ…」
「ごめん、イヴェール…」
「あ、いいって、別にそんなに気にしてないしね!」
「なんで機嫌いいのよ…怖いわよ…」
「そうかな…?」
「おかえりなさい!イヴェールさん、あの…」
「大丈夫。それより誕生祭…あっ!」

その時、教会の鐘が鳴った。午後一時、それは誕生祭の始まりの合図だ。

「ヤバィ…」
「ムシュー…どうするんですか?」
「何で僕?!」
「貴方が泣いたから遅くなったんです!こっちは一緒に泣いてたから余計に疲れてるんですよ!」
「え、あごめん…あーもう!とにかく城まで走る!それだけっ!以上!」

言い終わるか言い終わらないかのところでイヴェールは走り出す。
それに続く残りの五人。イヴェールの考えていることも知らずに…




「入レナィ…?」
「はい。招待状を持っていたとしても、もう入ることはできません。」
「っちょと待って下さいよ!僕らどう見ても顔パスじゃないか!いくら警備員でも知ってるだろ?!」
「「そうですよ!」」
「無理です。」
「そうですか。ならもういいです。さようなら」
「「ムシュー?!」」

予想外な行動を取ったイヴェール。五人に耳打ちで作戦を伝えると全員が警備員にさよならと告げる。
そうして六人は教会の裏へと回り、

「冥王、頼むよ」
「了解シタ。」

冥王は手に持っていた鎌で天使が描かれているステンドグラスを割った。

「何事だ?!」
「陛下!いるなら返事を…!」
「この声は、イヴェール…?」

冥王が割ったステンドグラスのある部屋は丁度陛下の居る部屋。
その部屋では国民から陛下への【伝言】を伝えているところだった。
あらかじめイヴェールが持っていたロープをステンドグラスに引っ掛けて六人とも部屋へ入り
台本と同じようにクロニカが喋り出す。

「陛下!薔薇をお持ちしました!」
「え、あ、ありがとう…」
「色の薄いのはアビスさん達のところで貰ったもの。色の濃いのは新人さんです。皆おめでとうと言ってました」

ルキアは説明しながら陛下に18本の薔薇を渡す。

「まさか、イド…?」
「ソゥダ。我カラモ…」
「これは?」

オレンジと黄色の幻の実で作ったタルト。赤は観賞用に、そう言い冥王は陛下にタルトと赤い実を渡す。

「「陛下…」」
「ん?」
「「誕生日おめでとうございます!」」
「…ヴィオレット、オルタンスありがとう…」

ヴィオレット、オルタンスに続き続々とおめでとうの言葉が聞こえてくる。

「それと、」
「どうした?イヴェール…」
「…ありがとうございます。僕らを生んでくれて……ありがとうございます陛下!」
「「「「「ありがとうございます!」」」」」
「え?あ、その…どう、いたしまして?」

陛下がお礼を言い終わるとそれでは誕生祭を再会しますと司会が言う。

「あらら…司会の人そんなに固くなくてもいいのに…ね?」

ルキアが言った後司会がため息をつき、

「あー…バレてましたか?ふふ…じゃあこのぴこまりがこの偉大なる誕生祭!盛り上げて行きましょう!」
「そう来ないとね…ほら、皆さんもそんなに固くならないでいいのですよ?」

クロニカがそう言う。

「さぁ!皆さん!ぴこまりと一緒にビッグでビューティホーな誕生祭にしましょう!はい!肩の力抜いてー?」
「…皆、ありがとうを言うのは僕の方だよ…?こんなにいい誕生祭…」
「陛下ガ泣ィテルゾ!」





笑い声は幸せの音色。嬉し涙は最高の宝石。









Thank you & Happy birthday
(陛下大丈夫ですか?!)
(あ、いや嬉し涙だから…)